綾小路龍之介の素人思考

好きになったら

「でも、好きになったらだめだなぁって。」2月の日差しが差し込む教室で、僕は初めて薫のことを意識した。いままでそんな風に思われていたなんてまったく気づかなかった。傍らにいることがあたりまえになった薫から、そんなことを言われることになるとは。パリッとした白いシーツの上で寝そべりながら答える。「へぇ。」「もうちょっと驚いてよ、恥ずかしいんだから。」「びっくりした。」やれやれといった表情で吐き捨てられる。「そんなんだから困ったのよ、はっきりしない。」

大学生のとき、薫を平日の真昼間から代官山に連れ出してクレープを食べながらデートした。完全に恋愛初心者だった僕らは、そんなありきたりなデートでも楽しかった。テラスに向かい合わせで座って、恋人同士の内緒話を楽しんだ。芝公園の1つのブランコに2人で座ってはじめてのキスをした。それからはや4年。薫が隣にいることが当たり前のように感じられるようになってきた今でも、彼女の一挙一動がぼくをどきどきさせる。それは昔よく感じていた別れの兆候を予感する恐れではなく、恋人としっかり意識できる相手が行う動作に女を感じてしまうからだろう。

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ChangeLog

  1. Posted: 2008-03-26T18:19:47+09:00
  2. Modified: 2008-03-26T05:47:27+09:00
  3. Generated: 2017-11-13T23:09:20+09:00